脱毛の契約で渡される書類は、その場でざっと見て署名してしまいがちです。ただしこの書面は、あとで解約したくなったときに期限の起点になる大事なものです。しかも、渡される書面は1つではありません。この記事では、2つの書面の違いと、その場で確かめられる点を整理します。効果や肌への影響ではなく、書面という手続きの話だけを扱います。
書面は2回渡される
特定商取引法は、脱毛のような特定継続的役務提供について、契約の締結前には概要書面を、契約の締結後には契約書面を消費者に渡さなければならないと定めています。
この2つは役割が違います。概要書面は「この契約をするかどうか」を判断するための資料で、契約書面は「実際にどういう条件で契約したか」を確定させる書類です。
説明の場で1枚しか受け取っていない場合や、契約後に何も渡されていない場合は、その時点で本来の形になっていません。手元にあるものが何なのかを、まず確かめてください。
概要書面に書かれること
消費者庁の説明では、概要書面には事業者の氏名または名称、住所、電話番号、法人であれば代表者の氏名、そして対価その他の支払わなければならない金銭の概算額を記載することが定められています。
「その他の支払わなければならない金銭」がある点に注意してください。施術の料金だけでなく、化粧品やジェルなどの関連商品、事務手数料が別に必要な場合、その概算がここに出てくることになります。総額の見込みは、この書面で確かめられます。
契約書面に書かれること
契約書面には、役務の種類(たとえば「エステティック」)、役務提供の形態または方法、役務を提供する時間数や回数などの数量の総計を記載することが定められています。
形態や方法というのは、フリータイム制なのか固定コース制なのかといった区別です。ここが曖昧なままだと、あとで「予約が取れない」「回数の数え方が違う」という食い違いが起きます。
回数の総計は、中途解約したときの精算にも関わります。1回あたりの単価を出す土台になる数字なので、記載されているかを確認しておいてください。
赤枠に赤字で書かれているかを見る
その場でいちばん確かめやすいのが、この点です。特定商取引法では、書面をよく読むべきことを赤枠の中に赤字で記載することが必要とされ、契約書面のクーリング・オフに関する事項も赤枠の中に赤字で書かなければならないとされています。
さらに、書面の字と数字の大きさは8ポイント以上であることが必要とされています。読めないほど小さい文字で済ませてはいけない、という決まりです。
受け取った書面にこの赤枠が見当たらない場合や、文字が極端に小さい場合は、本来の形になっていない可能性があります。その場で指摘しにくければ、写真を撮って持ち帰るだけでも構いません。
受け取った日を控えておく
クーリング・オフができるのは、契約書面を受け取った日から数えて8日以内です。起点は契約した日ではなく、書面を受け取った日です。
契約日と書面を受け取った日がずれることがあるため、受け取った日をその場でメモしておくか、封筒や日付の分かるものを残しておいてください。あとで「いつ受け取ったか」を示せるかどうかで、話の進み方が変わります。
その場で確かめる項目
署名する前に、次の点だけでも目を通しておくと安心です。
- 契約期間と総額(1か月を超え、5万円を超えると法律の対象になる)
- 回数または時間数の総計が書かれているか
- フリータイム制か固定コース制かが明示されているか
- 施術料金以外に支払う金銭があるか
- クーリング・オフの記載が赤枠に赤字になっているか
- 中途解約の条項と、そこに書かれた精算の考え方
- 書面を受け取った日(8日の起点になる)
気になることがあれば相談できる
書面が渡されていない、記載が足りない、説明と書いてある内容が違うといった場合は、消費生活センターに相談できます。全国共通の消費者ホットライン「188」から、住んでいる地域の窓口につながります。
相談するときは、渡された書面と、契約時のやり取りが分かるものを手元に用意しておくと話が早く進みます。
